瑠璃子は実在するのか、それとも幻なのか―。
東野圭吾さん『ダイイング・アイ』のあらすじと感想です。少しだけネタバレあります。
主人公・雨村慎介に三浦春馬さん、瑠璃子を演じるのは高橋メアリージュンさんです。美菜絵と瑠璃子の二役。
魅惑の瑠璃子。映像では 高橋メアリージュンさんの瞳に注目!!です。
『ダイイング・アイ』あらすじ
異色のハードサスペンス!
本の評価
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク
【あらすじ】
何者かに襲われた雨村慎介は 頭に重症を負う。犯人は かつて慎介が交通事故で死なせた女性の夫だった。怪我によって事故の記憶を失った慎介の元に、妖しい魅力に満ちた謎の女・瑠璃子が現れる。彼は瑠璃子にひかれていくのだが・・・。彼女は実在するのか、それとも幻なのか―。
『ダイイング・アイ』感想
東野さんの小説がよく映像化になりますね。『人魚の眠る家』『マスカレード・ホテル』、本作もです。
『ダイイング・アイ』実は再読なんです。東野圭吾さんの小説の中では異色。・・・オカルトチックなんですよね。内容をほとんど覚えていない状態での再読。
唯一覚えていたのは 目力のすごい女がでてくる・・・ということ。
魅惑の女・瑠璃子です。
妖しい魅力に満ちた瑠璃子

妖しい魅力に満ちた女・瑠璃子がでてきます。
『ダイイング・アイ』というタイトルどおりの目力がすごい女。「目は口ほどに物を言う」 ということわざもあるくらい 目には気持ちが表れるものですよね。
内容をほとんど覚えていなかったのですが、とてつもない女がでてくる物語というのは記憶に焼き付いていました。
バーテンダー・雨村慎介は 過去に起こした事故で岸中美菜絵を死なせてしまい その夫に襲われます。事故の記憶を失った彼の元に突然現れたのが瑠璃子でした。
俺はこの女に溺れる―そう直感した。
慎介が本能で悟ったとおり恋に落ちる。東野さんが描く小説には、たまに魅惑の女性が登場します。
記憶に新しいのは『危険なビーナス』。他には『白夜行』『幻夜』など。その中でも瑠璃子がダントツ妖しい感じがしました。
慎介は瑠璃子との逢瀬を重ねるうちに、彼女と以前に会っているような気がします。どこに住んでいるのか、なぜ彼の前に突然現れたのか・・・。
彼女は実在するのか、それとも幻なのか―。
謎を残し読み手を引きつける東野さんの描きかたにハマってしまいます。上手いですね。
人間の弱さと愚かさ
本書の面白さは 魅惑の女だけに留まりません。
『ダイイング・アイ』は 人の持つ弱さと愚かさを存分に感じた小説でもありました。
身近におこり得るかもしれない交通事故の恐怖。慎介はそれによって美菜絵を死なせてしまいます。冒頭では美菜絵目線で事故が描かれていてゾっとしました。
罪悪感で狂ってしまう人もいれば、責任を負わずに他人になすりつけようとする人もいる。弱みをネタに脅したり・・・。みんな自分勝手。
ある日 突然おきる非日常。ここまで人の人生を狂わせる事故とお金が絡んでくる・・・っていうのは 怖いと感じずにはいられませんでした。
1番可哀想なのは 美菜絵と小堀刑事ですね。2人とも巻き込まれる完全な被害者です。
瑠璃子の正体は?
魅惑の女・瑠璃子がオカルトチックでした。慎介は 瑠璃子とは以前にどこかで会ったことがあるという思いにとらわれます。
やがてあることに思い至ります。
人形職人である美菜絵の夫が作ったマネキンそっくりだということに。しかもそのマネキンは、妻の美菜絵に似せて作っていました。
死んだはずの美菜絵 = 瑠璃子!? ・・・もしや瑠璃子は幽霊!?
東野圭吾さんといえば 科学を小説に取り入れるのが上手い作家さんです。幽霊とか非科学的な要素は珍しい。
・・・とはいえ 最終的には幽霊ではないということになるのですが。もしかしたら美菜絵の怨念みたいのが取り付いていたのかもしれません。
【衝撃の結末】ダイイング・メッセージならぬ、ダイイング・アイ
ラストはゾッとしました。少しだけホラーで衝撃な結末です。
顔の中で1番気持ちが表れるのは目です。冒頭で死にゆく美菜絵が必死に叫んでいた目。それに込められた思いが、事故を起こした加害者たちの人生を次々と狂わせていく。
彼女のダイイング・メッセージ。
慎介の知り合い・江島の最後が怖かったです。木内の婚約者・ミドリも、江島も、美菜絵の怨念に囚われての結果・・・。少なからず罪悪感があったのかなと思いました。
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