『神様のカルテ3』あらすじ・ネタバレ感想文|正解のない医療|夏川草介
- 『神様のカルテ3』あらすじと感想文
- 御嶽荘の住人
- 医者のあり方
- イチさんの決断
- 泣いたシーン
医療に正解はない―。
夏川草介さんの小説『神様のカルテ3』感想です。『神様のカルテ』もようやく3巻まで読み終えました。読んでいくうちに好きの度合いが増していきますね。
やっぱり泣いた。
『神様のカルテ3』あらすじ
優しさに涙する
内科医・栗原一止が三十歳になったところで、信州松本平にある「二十四時間、三百六十五日対応」の本庄病院が、患者であふれかえっている現実に変わりはない。夏、新任でやってきた小幡先生は経験も腕も確かで研究熱心、かつ医療への覚悟が違う。懸命でありさえすれば万事うまくいくのだと思い込んでいた一止の胸に、小幡先生の言葉の刃が突き刺さる。
『神様のカルテ3』ネタバレ感想文
『神様のカルテ』シリーズは素敵な登場人物たちが多いですね。どの人にも愛着がわきました。
温かな気持ちになったよ。
御嶽荘の住人
コーヒー好きの私が頷いてしまったところがありました。イチさんと御嶽荘の住人・屋久杉くんのシーンです。疲れた時に飲むコーヒーは格別ですよね。
御嶽荘には個性的な住人たちがいます。
絵かきの男爵は、その中でも好きな登場人物。妙に愛着がわくんです。こんな住人がいる御嶽荘は楽しそう・・・。住人のような気持ちになりました。
夏川さんは人を描くのが上手い。
面白味もあり、時にはグッとくる言葉を言って心に響きます。
本を好きになる基準って、大体が登場人物を好きになれるか否かなんです。『神様のカルテ』はイチさんをはじめ、優しい登場人物ばかり。読んでいて楽しくなりました。
医者のあり方
『神様のカルテ3』では新任の小幡先生が新たに登場します。彼女がイチさんに言い放つ言葉が印象的でした。
「医者は無知であることが悪」
始めは何だこの先生は・・・と反感を持ったけど、彼女の言い分も一理あるという気持ちに変わってきました。
病気を診断するのに、お医者さんが無知では困るからね。
イチさんのように、どんな患者さんでも最善をつくすことは大切です。
イチさんの決断
まるで仙人のように人生を悟っている老人の手術に対してイチさんは思うのです。医療というものの難しさについて・・・。
医療に正解はない。
最後の方は思わず、えぇ!!・・・っと背筋が凍りつく思いがしました。夜中に読んでいたのだけど、一気に目が覚めてしまったほどです。
良かった、患者さんが仙人さまのような人で。
手術を経てイチさんは重大な決断をします。小幡先生の信念の理由も明らかになり、胸が締めつけられました。
【感動】思わず泣いたシーン
『神様のカルテ3』を読んでいながら、まだ泣いていない!!ということに気づきました。このまま泣かずに終わるのかな・・・と思っていた矢先。不意に泣いたシーンがあります。
大狸先生とイチさんが小料理屋で飲んでいるシーン。
そこには3人分の席が用意されていて、でももう一人は一向に来る気配がなく。そして、そこの空白の席が誰のものだったかわかった瞬間でした。
切なくなります。同時に温かい気持ちにもなりました。
やっぱり泣かずにはいられない物語だった。