ホラー・オカルト

『ひとめあなたに・・・』新井素子【あらすじと感想】チャイニーズスープに絶句!地球最後の1週間

この記事に書かれていること
  • 新井素子さんのホラー小説『ひとめあなたに・・・』あらすじと感想
  • Twitterで新井素子さんトレンド入り
  • 本の目次と登場人物
  • あなたの為にチャイニーズスープ
  • 走る女
  • 幸せと不幸は紙一重
  • 生きる意味

少しだけネタバレあります。

ひとめあなたに、会いたくて。

新井素子さんのホラー小説『ひとめあなたに・・・』感想です。先日 Twitter を眺めていたら久々に読みたくなった小説でした。・・・ちょうど手元にあった!ので再読して記事をリライトしました。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
新井素子さんの衝撃作。

Twitterで新井素子さんトレンド入り!?

この記事 先日やけに検索流入が多かったんですが、Twitterで新井素子さんがトレンド入りしていました。

NHK番組『おかあさんといっしょ』の11代目、だいすけお兄さんが歌っている「あたし おかあさんだから」の歌詞から新井素子さんの小説を連想した人が続出!!

確かに “あたし” という言葉や歌詞の雰囲気から彼女の小説『おしまいの日』『ひとめあなたに・・・』を連想してしまうのがわかります。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
まさかトレンド入りするとは本人も思ってなかったでしょうね。

・・・そんなワケで久々に新井さんの小説を読みました。

ホラー小説『ひとめあなたに・・・』あらすじ

地球最後の1週間!? どう過ごす?

本の評価

おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク

【あらすじ】
ある日、突然、恋人から別れを告げられた圭子。そして 「地球に隕石が衝突する」 という報道が流れた。圭子は彼に会いに 徒歩で練馬から鎌倉へ。道中、狂った様々な人たちと出会うのだった・・・。

『ひとめあなたに・・・』感想

新井素子さんの衝撃作 (・・・と私は勝手に思っています)。一人称の独特な文章は好き嫌いは分かれるかもしれません。

でも1度よんだら忘れられない衝撃。最後は感動もありました。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
『ひとめあなたに・・・』は 大好きな1冊なんです

隕石が地球にぶつかって滅びるまでの1週間。SFですが、これはホラーです。でもほんの少しだけラブ・ストーリー。

初めて読んだのは学生のころでした。衝撃を受けます。後ほどレビューを書きますが、「チャイニーズスープ」 の章がインパクト強すぎました。

松任谷由実 (当時は荒井由実) さんの 「チャイニーズスープ」 を聞くと、だれもが間違いなく『ひとめあなたに・・・』を思い出してしまうだろう・・・くらいに。

シチューの日は 読んではいけません!!美味しく食べられなくなると思います。・・・お気をつけ下さい。

地球最後の1週間!?

地球に隕石がぶつかる。設定は紛れもなくSFです。ですが、隕石を避けるための対策だとか科学的な要素は皆無。

・・・設定だけSFなんです。あとはホラーとラブが少しだけ。

もしも地球が滅びるとしたら、最後の1週間をどう過ごすのか。

テーマは “生きる意味” を様々な人たちを通して見つめ直すこと。(・・・それについて感じたことは一番最後にまとめたいと思います)

主人公・圭子 (ケイコ) は 別れを告げられた恋人・朗 (ロウ) の元へ走ります。練馬から鎌倉まで。道すがら様々な人たちと出会うのですが・・・。

圭子の視点、彼女たちの視点と交互に描かれています。

本の目次
  • 練馬 圭子―出発
  • 世田谷 由利子―あなたの為にチャイニーズスープ
  • 練馬―世田谷 圭子
  • 目黒 真理―走る女
  • 世田谷―目黒 圭子
  • 新横浜 智子―夢を見たのはどちらでしょう
  • 目黒―新横浜 圭子
  • 西鎌倉 恭子―聖母像
  • 新横浜―西鎌倉 圭子
  • 西鎌倉―そして湘南 圭子―ひとめあなたに・・・

出会う彼女たちがみんな狂っていてホラーなんです。

登場人物
  • お人形さんみたいな由利子
  • ひたすらレールの上を走る真理
  • 現実逃避をしている智子
  • 若くして子供を身ごもった恭子
ひだまりさん。
ひだまりさん。
1週間後に地球が滅びてしまうのだから、この展開は致し方ない?・・・では割り切れない恐怖にギョっとしました。

1番恐ろしかった由利子と、心に引っかかった真理にスポットを当ててみました。

あなたの為にチャイニーズスープ

1番の怖さはこの章にある!!

「あなたの為にチャイニーズスープ」。圭子が最初に出会う人物、純日本人形風の由利子が狂っていました。

あなたはわたしのお腹の中で、にんじんと一緒にとろけるの。そして、感じて。わたしの心臓の音を。そして、感じて。私の愛情……。

この文章、何を意味しているかわかりますか? 由利子が夫の好きなシチューを作っているシーンです。

ひつじくん。
ひつじくん。
何かがおかしい・・・。

由利子の夫・明広には愛人がいて、その愛人に会いに行こうとしたら・・・。極端なネタバレは避けますが、今 想像された通りです。

新井素子さんの文章は独特で読みづらくもありますが、描写がとても怖いんです。引用したものはまだ序の口で解体シーンなんかは読んでいるとゾッとしました。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
狂った由利子を見ていると可哀想にもなるけど 怖さが勝ってしまう。

松任谷由実さんの 「チャイニーズスープ」 という曲の歌詞にこんな文章があります。

煮込んでしまえば形もなくなる
もうすぐ出来上がり
あなたのために Chinese soup
今夜のスープは Chinese soup

この曲を聞いていると、必ず『ひとめあなたに・・・』の由利子を思い出します。

煮込んでしまえば形もなくなるもうすぐ出来上がり。・・・いったい、なにが出来上がるというの?

走る女

圭子が出会う女の子

「走る女」 に登場する彼女の名前は真理、大学受験勉強に勤しむ女子高生です。

読んでいて絶句。・・・彼女は 地球が滅びると知っても勉強をやめませんでした。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
なぜ? 受験はもうできないのに。
ひつじくん。
ひつじくん。
彼女には他にやりたいことが何もなかったんだね・・・。

レールの上をただひたすら走り続けるしかなかった・・・。こうなってしまったのには理由がありました。母にコンプレックスを抱いていたのです。

あと1週間しかないというのに何もやりたいことがない彼女を可哀想だと思うのは当然の感情。でも彼女が言ったひとことに衝撃が走りました。

「そうよ。あたしは、しあわせなの」

真理は もしもこのまま地球が滅びることがなかったら、走り続けられなくなってしまうことに恐怖を感じていました。

良い小学校に入るために勉強して、今度は中学受験、高校受験、大学受験。

大学に受かってしまったら、その先は?

考えなくてすむから大学に受かる前に人生が終わることになってホッとている。・・・彼女もどこか狂っています。ちょっと切なくもありますが。

幸せと不幸は紙一重

『ひとめあなたに・・・』は ある種の狂気が描れています。

幸せと不幸です。それは 紙一重だと思いました。

彼女たち (正気を失った人たち) は、みんな最後は幸せそうなんです。

もしかしたら狂ってしまった方が楽 (幸せ) なのかもしれません。由利子や真理や、その他の人たちのように・・・。

でも彼女たちを見ていると、一旦狂ってしまったらそこから抜け出せなくなるという怖さも感じます。こんな世界では正気を保つ方が難しい。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
ほんの少しだけ、大姫という人を思いました。

鎌倉時代に生きて、父親に殺された義高をずっと想い続けた人です。薄幸の人と言われているけれど 彼女の中では幸せな人生だったのかもしれません。

幸不幸なんて結局はその人自身が決めること。他人が決められるものではない。

そうは思うのですが、ここに登場する由利子や真理たちを見てると否定したくなってしまいます。

生きる意味

地球が滅びる = 死です。

主人公と一緒に死を目前にして狂う人たちを見てきました。人は産まれたときから 実はもう死への道を歩んでいるんですよね。

ゴールは死、でも生きることに意味はある。

鎌倉にいる恋人の朗に会ったときに、圭子と一緒に私も感じました。

今まで生きてきた中でたくさんの大切な人やモノたちに出会えたことや、それによって感じた喜び。

そういうのって、かけがえのない大切なものです。それに気づいて初めて生きる意味を見いだせるのかもしれません。

ひつじくん。
ひつじくん。
真理にもそれを分からせてあげたかったな。

新井素子さんの小説『チグリス・ユーフラテス』も 生きる意味を問うていました。・・・永遠のテーマですね。

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ひとめあなたに会いたくて。

圭子の恋人を想う強い気持ちが彼女を狂わせることなく鎌倉へと導いたんだと思うと心が温まりました。

初めて読んだときは 「チャイニーズスープ」 の衝撃が大きすぎて恐怖しか残らなかったけど、実は心温まるお話だったんですよね。

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ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら

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