『検事の信義』あらすじ&感想|佐方貞人シリーズ4・裁きを望む|柚月裕子
- 『検事の信義』あらすじと本の目次
- 検事・佐方貞人の魅力
- 4つの短編それぞれの感想とポイント
- 『検事の信義』を読んで思ったこと
少しだけネタバレあります。
正しい罪状で罪をまっとうに・・・。
柚月裕子さんの小説『検事の信義』の感想です。佐方貞人シリーズは 「最後の証人」 「検事の本懐」 「検事の死命」 に続き4作目。
1作目 「最後の証人」 は検事を辞めた弁護士・佐方が、本作を含めあとの3作は検事・佐方が描かれています。
佐方貞人シリーズ、ドラマにもなってるよね。
主演は上川隆也さん。イメージがぴったりで、このシリーズを読むと上川さんを連想します。
小説『検事の信義』あらすじと目次
佐方貞人シリーズ4
佐方貞人、検事時代の4つの短編集。認知症の母親を殺害して逮捕された息子・昌平の裁判を担当することになった検事・佐方貞人。遺体発見から逮捕まで「空白の2時間」があることに疑問を抱く。(「信義を守る」 より)
- 裁きを望む
- 恨みを刻む
- 正義を質す
- 信義を守る
検事・佐方貞人の魅力
検事・佐方貞人。シリーズの魅力は主人公の彼にあります。彼の信義というか、信念に共感できるんですよね。
佐方に迷いはない。立場とか、組織の事情など関係ない。罪をまっとうに裁かせるだけなのだ
ここがすごい!
佐方にとっては立場や組織の事情などは関係ありません。自分より上の検事が判断したことでも、疑問があれば真実を追求します。検察の権威が落ちようとも、正しい罪状で罪をまっとうに裁かせる。
利権や人間の欲が絡むと、当たり前のことが当たり前にできないことあるよね・・・。だから彼がカッコよく思えるのかも。
小説『検事の信義』感想
『検事の信義』はヤメ検である佐方貞人が検事時代の4つの短編集です。ほとんど事務官・増田の視点で描かれていました。
一事不再理、内部告発、裏取引・・・。
1話1話は短いけど、内容は濃く読み応えがありました。どこまでも自分の信念を曲げない佐方がカッコよくて大好きです。
4話それぞれのあらすじとポイント、感想をまとめたよ。
「裁きを望む」
住居侵入と窃盗の容疑で逮捕・起訴された芳賀渉。公判は検事の佐方が担当し、無罪。検察にとっては問題判決となった・・・。
戸籍の件では切なくなりました。それを望む芳賀の気持ちもわからなくはないから。彼は自ら裁きを望んだわけだけど、気持ちを想像すると泣きそうになります。
佐方は自分の信念通りに行動するんだ。切なくも、佐方のことが頼もしく思えた。
「恨みを刻む」
室田公彦は覚せい剤所持・使用で逮捕、起訴された。スナックを経営している幼なじみの武宮美貴が 鴻城巡査部長に相談したことがきっかけだった。
様々な人の画策を感じました。ヒモを解くと単純な構図だけど、上の利権争いにはウンザリします。そんな中で地道に真相を解明していく佐方は好感度大ですね。
どこまでも自分の信念を貫く彼がカッコイイ。
「正義を質す」
広島地検にいる木浦と年末を宮島で過ごすことになった佐方。旅館に広島高検・上杉義徳次席がやってきて・・・。
このお話だけ異質な感じがしました。「不許可」か「しかるべく」か。裁判所と検察官との裏側を垣間みれた1話です。正義とは何か。同じ職業でもそれは様々なんだなと。
佐方の「しかるべく」には重みがあるね。
「信義を守る」
認知症の母親を殺害して逮捕された息子・昌平の裁判を担当することになった佐方。遺体発見から逮捕まで「空白の2時間」があることに疑問を抱く。
重い刑を望む昌平の真実を知ったときに切なくなりました。どこまでも真実を追求し、「罪をまっとうに裁かせる」 の信念を曲げない佐方が素敵です。
介護が描かれていて、リアル感があったよ。
【まとめ】『検事の信義』を読んで思ったこと
『検事の信義』は、佐方のふとした疑問によって判決が翻ったりします。物ごと1つにもちゃんと意味があるんですよね。
日々の日常生活の中で何気なくやっていることにも、突きつめていくとちゃんと意味がある。
そういうのを理解した上で物事に取り組んでいくのが大切だと思った。