『おしまいの日』あらすじ・ネタバレ感想文|本当に壊れていたのは誰?|新井素子
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- 『おしまいの日』あらすじと感想文
- 夫に依存する妻
- 壊れていく三津子
- 黒く塗りつぶされた日記
- 本当に壊れていたのは誰か
- あとがきについて
少しだけネタバレあります。
もうすぐ、おしまいの日が来る。
新井素子さんのホラー小説『おしまいの日』感想です。『ひとめあなたに・・・』を読んだら、こちらも読みたくなりました。
![ひだまりさん。](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2020/08/hidamari_s.jpg)
深い結末だった。
新井さんの小説って好き嫌いが分かれそうだけど、ハマる人はものすごくハマるんですよね。私のように。
『おしまいの日』あらすじ
最後に世界が一転する!?
結婚7年目を迎えた三津子と忠春。幸せな日々を過ごしていた。仕事で忙しい忠春を心配する三津子だったが、少しずつ日常が狂い始めるのだった・・・。
『おしまいの日』ネタバレ感想文
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『おしまいの日』は、最後に怖さ(疑問?)がわきあがってくる作品です。
最後まで読むと、狂っていたのは誰か(何か)わからなくなりました。
本当の意味で壊れていたのは誰(あるいは何)?
![ひだまりさん。](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2020/08/hidamari_s.jpg)
私が読んだのは文庫版。上田早夕里さんの解説に書かれていた言葉に頷いてしまった。
『おしまいの日』の魅力は、ここにあります。何とも煮え切らない読後感・・・。読み終わると、それについて考えずにはいられなくなるんです。
夫に依存する妻
初めに感じたのは、夫に依存する妻の異常さでした。
夫の春さん(忠春)を待つ妻・三津子が重い。春さんは仕事人間で帰りはいつも遅く、三津子はひたすら夫の帰りを待ち続けます。
毎晩ご飯を作り、夫の帰りが午前さまになろうとも自分も食べずに・・・。
![ひだまりさん。](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2020/08/hidamari_n.jpg)
夫中心の生活を送る彼女を見ていると、痛々しさを通りこして恐怖まで感じる。
毎日となると、待たれている方は罪悪感に苛まれるかもしれません。待たなくて良いから寝ててくれと。
新井素子さんの小説『ひとめあなたに・・・』の「チャイニーズスープ」に出てくる由利子を連想しました。
![『ひとめあなたに・・・』あらすじ・ネタバレ感想文|チャイニーズスープに絶句!新井素子](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2018/10/20150504190651c02-1.jpg)
![ひつじ。](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2020/08/hituzi.jpg)
自分が壊れている認識がないままに壊れ続ける姿は怖さがあるよね。
壊れていく三津子
徐々に精神を病んでいく三津子。
現実と、彼女が毎日つけている日記とが交互に描かれていました。日記には春さんのことばかりです。
いつも帰宅が遅い春さんは、休みのはずの土日でさえも忙しくしていました。ゴルフなどの接待や、休日出勤などで働き通しの毎日。
![ひだまりさん。](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2020/08/hidamari_n.jpg)
“にゃおん”と名付けた猫や白い虫の下りは、彼女の精神が病んでいるのが伝わってきた。
三津子が徐々に壊れていく描写はホラー感がありました。
本人はまともだと思っているのだけど、傍から見るとどこかおかしい。壊れた人の視点で描かれているから、より怖いんですよね・・・。
黒く塗りつぶされた日記
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「おしまいの日」が近づくにつれて、怖さが増しました。
三津子の日記の文字が黒く塗りつぶされた描写があって、そこにはいったい何が書かれていたのかとゾッとします。
![ひつじ。](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2020/08/hituzi.jpg)
この辺りは怖かった。
本当に壊れていたのは誰か
本当に壊れていたのは誰か(何か)?
これが本書のキモです。三津子はもちろん壊れていたのだけど、果たして彼女以外はまともなのか?
友だちの久美に宛てた手紙を読むと、ガツンと頭を殴られたような衝撃を受けました。そして極めつけは春さんのラスト。その展開を読むと、
壊れていたのは彼女だけではないかもしれない・・・ということに思い至るはずです。
仕事第一主義の夫。イヤなことは先延ばしにする久美。過労死寸前まで働かせる社会の仕組み。
![ひだまりさん。](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2020/08/hidamari_n.jpg)
本当に彼ら(と、世の中)は、まともだと言える?
わからなくなります。・・・いや、まともではないですね、これは。世界が一転したような気持ちになりました。
『おしまいの日』を要約すると・・・
『おしまいの日』、怖くてなかなか深い結末。でも、新井さんの「あとがき」を読むと思わず微笑まずにはいられなくなりました。
『おしまいの日』を要約すると・・・、
「春さんは、今日も帰ってこない」 と、まあ、そういう話です
確かに春さんは今日も帰ってこない話ですね(笑)簡潔すぎるくらい簡潔だけど。
![ひだまりさん。](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2020/08/hidamari_s.jpg)
あとがきが面白くて、ホラーな本編とのギャップが良いね。こちらもツボにハマったよ。
![『ひとめあなたに・・・』あらすじ・ネタバレ感想文|チャイニーズスープに絶句!新井素子](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2018/10/20150504190651c02-1.jpg)
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