『三体』あらすじ・ネタバレ感想文|第1部の解説と要約|魅力的なVRゲームの世界が斬新すぎる!
- 『三体』あらすじ・魅力&感想
- 第1部を簡単に解説・要約
- VRゲーム「三体」と三体問題
- 不可解な事件とゴースト・カウントダウン
- 三体人の目的
ネタバレあります。ご注意ください。
VRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?
劉慈欣さんのSF小説『三体』読書感想です。全3部作の第1部を読みました。初めて読んだ中国SF小説です。
第1部『三体』のテーマは 地球外生命体とのファーストコンタクト。
面白かったよ。内容は難しい。
Amazonのレビュー評価がめちゃくちゃ高いのだけど、第1部『三体』に限っては絶賛するほどか?というのが正直な感想です。・・・でも面白かったので第2部と最終巻も読みました。
三体問題、陽子 (プロトン) と智子 (ソフォン) とか、理解出来なかった。
あとは、葉文潔をイエ・ウェンジエと読むか、ヨウブンケツと読むか (←私は後者)。『三体』は、自分が読みやすいルビで読んじゃった方が良いことに気づきました。
私の中では、陽子 (プロトン) はヨウコ、智子 (ソフォン) はトモコです。
『三体』あらすじ
中国SF小説『三体』
物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔 (イエ・ウェンジエ)。彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。数十年後、ナノテク素材の研究者・汪淼 (ワン・ミャオ) は、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする “科学フロンティア” への潜入を引き受けた彼を怪現象が襲う。汪淼が入り込む三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?
『三体』第1部を簡単に解説・要約 (ネタバレあり)
『三体』は異星人との戦い (第1部はファーストコンタクト) を描いたSF小説です。
第1部は地球人が異星人 (三体人) とコンタクトをとり、三体人は地球を侵略するために地球文明を遅らせようと画策する話。
小説には多くの登場人物が出てきます。主人公は2人。
- 葉文潔 (イエ・ウェンジエ)・・・エリート科学者
- 汪淼 (ワン・ミャオ)・・・ナノテク素材研究者
他にもたくさんの登場人物がいるのですが、2人と異星人 (三体人) が主軸になって物語は進んでいきます。
登場人物のキャラが濃くないから、あまり感情移入できなかった。
あえて好きな登場人物をあげるなら、警官の史強 (シー・チアン)。彼はカッコよかったです。
『三体』で描かれているのは主に3つのパートでした。
- 葉文潔の過去・・・文化大革命で家庭を壊された犠牲者・葉文潔の過去から現在に至るまで
- 汪淼視点の現代・・・科学フロンティアに潜入して不可解な事件を調べる汪淼。その過程でVRゲーム「三体」世界へログインする
- 三体世界・・・VRゲーム「三体」と、実際の三体世界での異星人の視点
日本語訳『三体』は、文革が描かれた葉文潔の過去から始まります。そして汪淼視点の現代、VRゲーム「三体」、実際の三体世界・・・と続く。
葉文潔の中では恨みが燻っていた。・・・だから異星人に手を貸すマネをしたのかな。
彼女の心情は理解出来なかったけど、『三体』はスケールの大きい物語でした。
小説『三体』魅力・ネタバレ感想|ここが面白い
小説『三体』の魅力、面白かったところは3つありました。
- VRゲーム「三体」世界
- ほどよいミステリー感
- 地球の科学を壊滅させようとする異星人
レビューをまじえて詳しくみていくね。
VRゲーム「三体」と三体問題|斬新な世界
小説のタイトルにもなっている「三体」の世界は、恒紀と乱紀が不規則にやってくる。
何よりもまず、汪淼が挑戦するVRゲーム「三体」が面白かったです。
気候が温和なのが恒紀で、それ以外は乱紀。乱紀のときは人類は集団で脱水し、長めの恒紀が来たとき再水化して復活する。
ギョッとするけど、この世界観が斬新で面白い。
恒紀じゃなければ文明は発展しないから、なかなか進まない。厄介なことに恒紀と乱紀には規則性がありません。
三体世界には3つの太陽が存在するからです。
「さあ、これできみにも、このゲームのゴールがわかっただろう。知性と論理を駆使してあらゆる現象を分析し、太陽の運行の法則性を発見する。文明の存続はそれにかかっている」
「三体」は太陽の運行の法則性を求めるゲームでした。でもこれには解がないんですよね。
三体問題だ。
難しくてよくわからなかったけど、このVRゲームがそのまま異星人の世界そのものなんです。三太陽世界は実在する。それに気づいたとき鳥肌がたちました。
「三体」のようなVRゲームがあったら面白そう。やってみたいです。
ほどよいミステリー感|不可解な事件とゴースト・カウントダウン
『三体』はSF小説ですが、ほどよいミステリー感もあって楽しめました。
「リストにある物理学者たちは、この二カ月足らずのうちに、たてつづけに自殺している」
自殺した学者のほとんどが〈科学フロンティア〉となんらかの関係があったのです。
ミステリー好きだから、こういう展開は気合が入る。
ナノテク素材研究者・汪淼が登場。葉文潔の過去から時は飛んで現代へ。警官の史強とともに不可解な自殺事件を調べはじめるのですが・・・。
突如、汪淼が写した写真にゴースト・カウントダウンが出現。カウントダウンは1200時間からスタートしていました。
フィルムの最後の一枚を撮ったあの時から、このカウントダウンはまだ継続しているのか?
怖いんだけど・・・。カウントダウンが0になっらどうなるんだろ。
科学では証明不可能な神がかった力が働いている・・・。ブキミさを感じました。
三体人の目的|侵略のために地球の科学を壊滅!?
物語の後半で、地球に干渉する異星人の存在が明らかになります。
「いま起きているこういうことすべてには、陰で糸を引いている黒幕がいる。目的はひとつ。科学研究を壊滅させることだ」
汪淼に現れたゴーストカウントダウンや、物理学者たちの自殺事件。それらは、ある1つの目的のために仕掛けられたことでした。
陰で糸を引いているのは三体人です。
そして地球にも三体人に協力する人たちが一定数いました。人類に絶望した葉文潔や、藩寒 (ファン・ハン)、マイク・エヴァンズなど。
彼らの理想は三体文明に人類文明を矯正してもらうこと。地球を調和のとれた罪のない豊かな世界に戻してもらうこと。
文革で家族を失った葉文潔は人類に絶望してしまったんだね。
地球を征服しようと企む三体人が面白かったです。
ゴーストカウントダウンや物理学者たちの自殺をけしかけた三体人の目的は、地球の科学を壊滅させることでした。
彼らが地球にやってくるのは、いまから約450年後。その頃には、地球文明は三体文明をはるかに凌駕してしまっていると予測しているんです。
三体人は、約450年後、地球を乗っ取るためにやってくるけど、逆に返り討ちに合うことを心配している。
『三体』で描かれている異星世界は3つの太陽が存在して、恒紀と乱紀を繰り返していました。文明の発展と衰退を繰り返す世界です。
征服しようとして地球にやってくるのに、返り討ちにされるかもしれない異星人・・・という設定が新鮮で面白い。
それもこれも、全ては3つの太陽が存在する三体問題に起因していることなのですが。斬新な世界観が目を引きました。
地球の科学を壊滅させるために三体人が送り込んできた陽子 (プロトン) と智子 (ソフォン)。
この辺りは難しくて理解出来なかったけど、智子によりリアルタイムで地球をモニターすることが可能。そしてリアルタイムで地球人とコミュニケートすることもできてしまうという・・・。
ホーガンのSF小説『星を継ぐもの』シリーズでも、こういうのあったな。
人工知能ゾラックや、ヴィザー。人工知能を介せば、地球人と異星人がコミュニケートできるやつ。
ホーガンの小説ではテンション上がりましたが、『三体』では一方的に監視されているからブキミな感じです。
三体人、恐るべし。
『三体』はミステリーありのSF小説
劉慈欣さんの小説『三体』。ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』を読んでいるような面白さ&本格SF小説・・・と言われているけど、また違った感じがしました。
読みやすいけど『星を継ぐもの』よりは難しい。三体問題などの要素が強く、本格SF小説というよりは数学的な小説・・・という印象を受けました。
ミステリー要素があるのが嬉しい。
絶賛するほどではないものの面白かったです。3部作だからまだまだ序盤ですね。これから宇宙的なSF感が強まることを期待して。