『三体0 球状閃電』ネタバレ感想文・あらすじ|天才物理学者・丁儀が球電に挑む|劉慈欣|ほんのたび。読書感想文とあらすじ
SF小説

『三体0 球状閃電』ネタバレ感想文・あらすじ|天才物理学者・丁儀が球電に挑む|劉慈欣

『三体0 球状閃電』感想文
ひだまりさん。
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この記事に書かれていること
  • 『三体0 球状閃電』あらすじと感想文
  • 読者を虜にする球電の謎
  • 丁儀が導き出した球電の真実
  • 兵器開発に人生を捧げた林雲
  • 『三体0 球状閃電』を読む順番

ネタバレあります。ご注意ください。

三体シリーズ、幻のエピソード0(ゼロ)

劉慈欣さんのSF小説『三体0 球状閃電(きゅうじょうせんでん)』読書感想です。『三体』の前日譚ストーリーを読みました。

天才物理学者・丁儀(ディン・イー)が登場!

『三体』にも登場した丁儀に愛着がわきますね。めちゃめちゃ面白かったです。

一応『三体』シリーズだけど、本編とは直接の繋がりはありません。三体人などは出てこなくて、また別の物語といったところです。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

『三体』三部作と合わせておすすめだよ。

『三体0 球状閃電』あらすじ

『三体』の前日譚!

著:劉 慈欣, 翻訳:大森 望, 翻訳:光吉 さくら, 翻訳:ワン チャイ
あらすじ

両親と食卓を囲んでいた少年・陳(チェン)の前に突然現れた球状の雷(ボール・ライトニング)が、父と母を一瞬で灰に変えてしまった。その後、陳は球電の研究を始める。その過程で知り合った運命の人が林雲(リン・ユン)。彼女は、新概念兵器開発センターで雷兵器の開発に邁進する技術者にして若き少佐だった。研究に行き詰まった二人は、理論物理学者・丁儀(ディン・イー)に助力を求め、球電の真実を解き明かす。

『三体0 球状閃電』ネタバレ感想文|球電の真実を丁儀が解き明かす!

『三体0 球状閃電』は、兵器開発を中心に球状閃電(球電)の謎に挑むSF小説です。

最初は球電の謎を追っていき、中盤から戦争と兵器開発が密接に絡んできました。自然現象だけど、もしもそれを操ることができたら・・・。

ひつじ。
ひつじ。

人を一瞬で灰にできる球電は兵器になり得るんだ。

兵器開発がからんでくるのはリアル感がありました。・・・ゾッとするけど、こういうのはしょうがないのかな。

球電って、現実にある自然現象なんですよね。作者の劉慈欣さんも見たことがあるとか。

でもここで描かれた球電(ボール・ライトニング)は、作者のイマジネーションの創造物。それが想像を掻き立てられて面白いんです。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

球電って何なのかを一緒に解き明かしていくのがドキドキだった。

読者を虜にする球電(ボール・ライトニング)の謎

両親を球電で亡くした主人公・陳(チェン)、軍人の林雲(リン・ユン)、理論物理学者・丁儀(ディン・イー)を主軸として球電の謎を解き明かしていきます。

陳は球電に魅せられ、林雲は兵器に使う目的、丁儀は物理学者としての興味から・・・。

ひつじ。
ひつじ。

球電を追う彼らの気持ちが理解できる。怖くも魅力的なんだ。

読者も引き込まれてしまう球電(ボール・ライトニング)とは、どんなものなのでしょうか。ここで描かれている球電について、まとめました。

  • 火の玉のようなかたちをしている
  • 動く軌道は定まっていない
  • 簡単に壁をすり抜ける
  • 空気中を飛行するさい、それの熱量を感じることは一切ない
  • 一瞬で物質を灰にしてしまう

一瞬で物質を灰にしてしまうなんて怖いですよね。それなのに熱量を感じないとか、不思議・・・。

でも、もっと不思議な現象が描かれていました。それは球電によって灰になった一冊のノートに関してです。

一ページめは焼け焦げて、一部が灰になっていた。焦げたページをそっとめくると、二ページめは傷ひとつなかった

一ページめは灰になり、二ページめは無傷、そのまた次のページは灰になってて、次は無傷・・・。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

どうゆうこと!?ミステリアスすぎる、球電。

実際に遭遇したら怖いけど、ワクワクする気持ちも抑えきれず・・・。劉慈欣さんの想像力、すごいです。

天才物理学者・丁儀が導き出した球電の真実(正体)

理論物理学者・丁儀(ディン・イー)が登場したあたりから、面白くて止まらなくなりました。球電の正体が解き明かされていくのが興味をひきます。

球電は雷によって生じるものじゃない。自然界にとっくに存在している構造なんだ

球電がそこら中に漂ってたら怖いのですが・・・。丁儀の言葉にヒヤリ。

でも球電の正体が明かされたとき、拍子抜けとともに安堵感もありました。

ここでの球電の正体は電子。シャボン玉のような透明の球体(空泡)→稲妻で励起されて球電になる。

正直、理数系が苦手な私は、電子、陽子、中性子など理解が追いつかなかったです。ここから話は宇宙規模になり、聞き慣れない単語がチラホラ・・・。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

よくわからなかったけど、球電の怖さが少し和らいだ。

謎に包まれて不思議だったものが、物理学(?)で説明がつくと怖くなくなりますね。丁儀が解明していくシーンを読みながら、漠然とそんなことを感じました。

『三体』を読んだときは、あまり気にかけなかったけど、『球状閃電』を読むと丁儀に愛着がわくんです。

ひつじ。
ひつじ。

丁儀、こんなに個性強めなキャラだったっけ?

こういうキャラ、良いですね。もう一度『三体』を読み返したくなります。

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兵器開発に人生を捧げた林雲|夢中になれるもの

こんな文章がありました。

自然界に存在するさまざまな力は、生命を破壊する兵器に変わる可能性を秘めている

『三体0 球状閃電』は兵器開発が重要なキーワードになっています。そのために球電の謎を追っていくと言っても過言ではないくらいに・・・。

中心人物は球電に魅せられて兵器開発に人生を捧げた女性・林雲。新概念兵器開発センターの技術者にして若き少佐です。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

本の表紙に描かれてる女性だよ。

兵器開発の執着がすごくて、じゃっかん引きました・・・。彼女がここまで開発に夢中になるのは、戦争で母親を亡くしたことがきっかけなんですよね。

自分の大切なひとを守るために、やられる前にやる(兵器を作り出す)という信念の持ち主。

戦争に関するものを遠ざけるのではなく、逆に夢中になってしまうのが林雲です。

彼女の行動で戦争が終結するのは結果良しとしても、正直、林雲が好きになれませんでした。

そういえば『三体Ⅲ 死神永生』の程心(チェン・シン)も好きになれなかったんです。劉慈欣さんが描く女性と私は相性が悪いのかも・・・。

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林雲もだけど、陳や丁儀を見ていると、球電に対する情熱が伝わってきました。

なにかひとつのものにとり憑かれて夢中になったら、一生それを捨てられなくなる

劉慈欣さんが描く球電の魔力。球電を追い求めた結果、命を落とすことになる登場人物も描かれているんです。

たぶん球電に出会わなければ、彼ら(彼女ら)は全く違った人生を歩んでいたのでしょうね。夢中になれるものが見つからずにいたかもしれないけど。

ひつじ。
ひつじ。

それはそれで幸せな人生かもしれないけど、夢中になれる何かがあるって良いな。

『三体0 球状閃電』は『三体』三部作の前に読んでもOK!

『三体0 球状閃電』は三体シリーズの前日譚(ストーリーは一冊で完結)です。『三体』を読んだことない人が読むとしたら、気になるのは読む順番ですね。

結論から言うと、『三体0 球状閃電』を先に読んでから『三体』を読み始めても大丈夫。

中国では『三体0 球状閃電』→『三体』→『三体Ⅱ 黒暗森林』→『三体Ⅲ 死神永生』の順に出版されているんです(日本では日本語訳『三体0 球状閃電』は最後に出版)。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

『球状閃電』を先に読むと『三体』に出てくる丁儀も馴染みやすいんじゃないかな。

もちろん、先に『三体』三部作を読んでから『球状閃電』でもOK(私は日本語訳の出版順で読んだ)。とりあえず『球状閃電』だけを読むのもアリです(『三体』三部作も面白いから読んでほしい)。

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『球状閃電』は、球電の謎解きミステリーとドキドキ感、そして兵器開発というリアルな怖さを味わえる物語です。

自然現象である球電にスポットをあて、ここまで想像を膨らませたのがすごい一冊でした。

異星人とのファーストコンタクトを描いた『三体』とは別の物語だけど、合わせておすすめです。

著:劉 慈欣, 翻訳:大森 望, 翻訳:光吉 さくら, 翻訳:ワン チャイ
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