『銀河英雄伝説』名言&心に残った言葉|田中芳樹
田中芳樹さんの小説『銀河英雄伝説』名言と心に残った言葉を集めました。本伝10巻までです。
心に響いた言葉がたくさんあったよ。
2人の英雄ラインハルトとヤンをはじめ、魅力あふれる登場人物がたくさんの『銀英伝』。彼らの物語を紡ぐ作者の筆力を感じた作品でした。
『銀河英雄伝説』あらすじ・作品情報
小説『銀河英雄伝説』
銀河系に一大王朝を築きあげた帝国と、民主主義を掲げる自由惑星同盟が繰り広げる飽くなき闘争のなか、若き帝国の将“常勝の天才”ラインハルト・フォン・ローエングラムと、同盟が誇る不世出の軍略家“不敗の魔術師”ヤン・ウェンリーは相まみえた。この二人の智将の邂逅が、のちに銀河系の命運を大きく揺るがすことになる。
『銀河英雄伝説』は、田中芳樹さんの代表作。本伝だけでも10巻の巨編。スペース・オペラを扱ったSF小説です。
漫画やアニメ、ミュージカルも展開される名作なんだ。
小説を読み、アニメ(旧作)も見ました。どちらも素晴らしかったです。
常勝の天才・ラインハルトの名言
まずは常勝の天才・ラインハルトの名言&心に残った言葉を集めました。
ラインハル卜・フォン・ローエングラムは、金髪の髪にアイスブルーの瞳を持つ青年。後に銀河を統一する銀河帝国の英雄で主人公です。
アスターテ会戦「リング状の陣形」
『銀河英雄伝説1 黎明篇』から描かれている宇宙戦争は、2人の英雄ラインハルトとヤンの立ち位置を明確に表していました。
常勝の天才と不敗の魔術師。
ラインハルトがヤンに背後を取られ、思わず叫んだ言葉が印象に残っています。
なんたるぶざまな陣形だ!
リング状の陣形、アスターテ会戦だよ。
結果的にはラインハルトの勝利だけど、ヤンもみすみす負けたわけではなかったという・・・。この立ち位置は今後も変わらないんですよね。
ラインハルトの信念
ラインハルトは部下からも慕われている人物。彼は自らが前線に立ち、ともに戦うのです。
私は勝つためにここへ来たのだ、ミッターマイヤー、そして勝つには戦わなくてはならぬし、戦うからには安全な場所にいる気はない
こういうところがラインハルトの魅力で、部下から絶大な信頼を寄せられるんだろうな。
戦っているときが1番輝いているんですよね。・・・これはラインハルトに留まらず、『銀英伝』のほとんどのキャラに当てはまるのだけど。
ラインハルトの絶望
5巻〈風雲篇〉で描かれた銀河帝国と自由惑星同盟の全面戦争。ヤンに負けそうになるシーンに、ラインハルトの絶望を感じました。
勝ちつづけて、勝ちつづけて、最後になって負けるのか。キルヒアイス、おれはここまでしかこれない男だったのか
ラインハルトの言葉に切なくなっちゃった。
「無条件停戦命令」がなければ、勝っていたのはヤンだったかもしれません。
ラインハルトの孤独
キルヒアイスがいなくなってから、ラインハルトの孤独を感じることが度々ありました。そして8巻〈乱離篇〉では、最大のライバルまでもが消えてしまう・・・。
誰も彼も、敵も味方も、皆、予をおいて行ってしまう! なぜ予のために生きつづけないのか!
ラインハルトの気持ちがわかる。私もショックを受けたから。
結局、彼の心を癒やしてくれるのはキルヒアイスとアンネローゼだけなのかもしれません。・・・みんな離れていくのは切なくなりますね。
不敗の魔術師・ヤンの名言
続きまして、もう一人の英雄ヤン・ウェンリーの名言&心に残った言葉です。
ラインハルトとは敵対関係にある不敗の魔術師。お酒と紅茶をこよなく愛している自由惑星同盟の軍人です。
ただでは負けない!不敗の英雄マジック
歴史をたくさん学んでいたヤンは、それを戦術に活かします。初めは負けているけど、ただでは負けないのが不敗の魔術師。
わが部隊は現在のところ負けているが、要は最後の瞬間に勝っていればいいのだ
ごもっとも。
言葉に違わず、負けていても最後はラインハルトを悔しがらせる。彼がいたから、自由惑星同盟はここまで持ちこたえられていたに違いありません。
ヤンのプラス精神が好きです。
軍人らしからぬヤンの言葉
軍人らしからぬヤンの言葉に、ほっこりしました。
戦わずに降伏させることを考えてみよう。そのほうがだいいち、楽だ
戦わずに降伏させることができれば、それに越したことはありませんね。戦いを好むラインハルトとは相対的な自由惑星同盟の軍人です。
ヤンは平和主義。
いつも犠牲を最小限に考えている彼の戦略は、さすがのひとこと。・・・みんな彼について行くワケです。
酒は人類の友
紅茶とお酒をこよなく愛するヤンの名ゼリフ。
酒は人類の友だぞ。友人を見捨てられるか
この言葉だけ聞くと、堕落してる人みたいだ。
紅茶にブランデーを入れて飲むのが彼流です。試してみたいと思いつつも、まだ試せていませんが。
部屋は散らかっりっぱなし、朝はひとりで起きれない・・・。ユリアンがいなければ、自堕落な生活を続けていた人。
でも仲間から尊敬される英雄なんですよね、ヤンは。めちゃめちゃ魅力的な人物です。
人は人にしたがう
ヤンの言葉がストンと心に落ちました。
人は人にしたがうのであって、理念や制度にしたがうのではない
これ、本当にそうだと思った。
ヤンやラインハルトだから仲間は従ったのです。ヤンの仲間たちは信頼関係で、ラインハルトの部下たちは尊敬や崇拝というもので繋がっていました。
2人は全く正反対でありながら、英雄のような存在感があります。仲間や部下たちは彼らに希望の光を見出したのですね。
フレデリカ|心に響いた言葉
自由惑星同盟では、ヤン艦隊の副官を努めたフレデリカ・グリーンヒルの言葉も心に響きました。
わたしはつくづく思ったの。こんなにたよりなげで、とっぽい感じで、軍服姿のままソファーに眠って、朝起きたら顔を洗わず、ひとりごとを言いながらバターもつけないパンをかじるような男の人、わたしが好きになってあげなきゃ、誰も好きになってくれないだろうって……
さすが、フレデリカ。器が大きい。
彼女の言葉ひとつひとつにヤンに対しての愛情を感じました。彼の自堕落なところも受け入れて愛しているんですよね。
帝国軍双璧・ロイエンタール&ミッターマイヤー|印象に残った言葉
銀河帝国軍の双璧、オスカー・フォン・ロイエンタールとウォルフガング・ミッターマイヤー。9巻〈回天篇〉で描かれた彼らの言葉が印象に残っています。
おれは皇帝と戦い、それによって充足感をえるために、生きてきたのではなかったのか
反旗を翻したロイエンタールが、悲しいかな、今までで1番輝いていました。そんな彼に対してミッターマイヤーは・・・、
ロイエンタールの大ばか野郎!
怒り炸裂。でも怒るミッターマイヤーの気持ちも痛いほどわかります。ミッターマイヤーは本気でロイエンタールを心配しているのです。
9巻は苦かったけど面白かった。1番好きな巻だよ。
オーベルシュタインの名言|冷徹無比の正論
銀河帝国軍パウル・フォン・オーベルシュタインは、前半からラインハルトに仕えて助言をしてきた重要人物。
冷徹無比でみんなから嫌われ、No.2不要論を掲げている彼だけど、味があるキャラなんですよね。
本伝最終巻でのオーベルシュタインが、ひときわ際立っていました。
帝国は皇帝の私物ではなく、帝国軍は皇帝の私兵ではない。皇帝が個人的な誇りのために、将兵を無為に死なせてよいという法がどこにある
オーベルシュタインの言葉、正論すぎて誰も何も言い返せない。
とてつもなく良いことを言っているのに、素直に聞き入れられない雰囲気が周りから漂ってきます。
・・・なかなか、すごいキャラですね。
号泣したそれぞれの最期
最後に、登場人物それぞれの最期の言葉で号泣したもの&カッコよかったものを集めました。
『銀河英雄伝説』は、キャラひとりひとりが丁寧に描かれています。悲しいけど最期がまた良いんですよね。
号泣しちゃった。
友との約束
キルヒアイスの最期
ラインハルトさま……宇宙を手にお入れください
このシーン、ショックとともに号泣でした。まさかまさかの、前半でいなくなってしまうなんて・・・。
でも彼亡きあとも、ラインハルトの中では生き続けているんですよね。切なくなるけど救いでもありました。
民主主義を貫く老提督の言葉
ビュコックの最期
自由惑星同盟の老提督アレクサンドル・ビュコック。銀河帝国との戦いの末、ラインハルトに言い放った彼の言葉に胸を打たれました。
わしはよい友人がほしいし、誰かにとってよい友人でありたいと思う。だが、よい主君もよい臣下ももちたいとは思わない
「民主主義とは対等の友人をつくる思想であって、主従をつくる思想ではない」
軍人の中の軍人。最期まで民主主義を貫いた彼の生き様がかっこ良い。
生きてほしかった・・・
ルッツの最期
後半まで意識していなかったキャラが、めちゃめちゃ素敵な人物であることに気づいた9巻〈回天篇〉。銀河帝国軍コルネリアス・ルッツです。
わが皇帝、あなたの御手から元帥杖をいただくお約束でしたが、かなわぬことのようです。お叱りは天上でいただきますが、どうかそれが遠い未来のことであるように……
ルッツは自らの命を張って、ラインハルトを守ったんだ。
後続の敵をひとりくい止める姿は、感動ものでした。
薔薇の騎士(ローゼンリッター)
シェーンコップの最期
元、薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊長ワルター・フォン・シェーンコップ。彼は皇帝の白い艦隊ブリュンヒルトにて白兵戦の末、命を落とします。
さて、誰が名誉を背負うのだ? ワルター・フォン・シェーンコップが生涯で最後に殺した相手、という名誉をな
見事な戦いっぷりだったよ。
戦斧(トマホーク)が似合う・・・。出血しながらも不敵な笑みを浮かべ戦う姿は魔王のようで、畏怖の念を抱きました。
ラインハルトの原点
主人公が退場するのも、田中芳樹さんの小説・・・。ラインハルトの最期には救いも感じます。
ラインハルトの最期
宇宙を手に入れたら……みんなで……
彼の言葉から、ラインハルトとキルヒアイス、アンネローゼが笑いあっている光景が思い浮かびました。彼は3人が一緒に笑って過ごせる未来を叶えるために銀河を統一しようとしたのです。
ラインハルトの原点はここにあるんだね。
3人が笑って過ごしている光景を思い描きながら逝ったと思うと、切なくも救われた気持ちになりました。
『銀河英雄伝説』銀河の歴史に思いを馳せて・・・
たくさんの名言や心に残った言葉が描かれた『銀河英雄伝説』。読後は、銀河の歴史に思いを馳せたくなりました。
壮大だった。英雄がいなくなっても、世界は終わらずに続いていくんだよね。
膨大な時の中では、自分が生きた時間はほんのちょっぴりで。でも精いっぱい生きた登場人物たちは、みんな輝いています。
物語の登場人物と一緒に銀河の歴史を感じられて、胸がいっぱいになるような読書体験。・・・とても充実した時間でした。